ICT 林業機械、ドローン測量、衛星リモートセンシング、森林クラウド、J-クレジット。点で語られてきた個々の技術が、ようやく一つの絵としてつながりはじめた。
日本の山林の七割は、いま誰の手にも管理されていない。誰のものかは登記簿に書いてあっても、その山がいま何 m³ の材積を持ち、どんな樹種で、何 ha が施業可能かを、所有者自身が答えられない。ここ十年で日本の林業が抱えていた一番大きな問題は、機械の不足でも、人手の不足でもなく、「山が見えていなかった」ことだった。
ドローンが森林を測りはじめ、衛星が林相を読み、クラウドが施業履歴を蓄えはじめている。これは林業の景色を、ものすごい速さで書き換える変化だ。しかし、技術の話だけでは現場は一歩も動かない。費用、補助金、担い手、所有関係、地形。巻 02 では、この変化を「現場で本当に何が起きているか」という解像度で記録する。
この巻は、林業のすべてに答える本ではない。むしろ、いま明らかになりつつある輪郭を残しておくための、最初の地図だ。三年後に読み返したとき、何が変わり、何が変わらなかったかを測れるように、書く。
レーザー測量と写真測量、どちらをいつ使うべきか。機材費・運用費・成果物精度の三軸で比較する。
4,800 万円の機械を一台入れて、現場はどう変わったか。岩手・北上山地の中堅林業会社「北上フォレスト」(仮名)は、2023 年春に ICTハーベスタを導入した。三年が経ったいま、回収シナリオを所有者と一緒に検算しに行った。
山を持っている人が、いまいちばん気になっているのは「カーボンクレジットで稼げるのか」だ。答えは、条件付きで「儲かる」。ただし、想像している桁とは違うかもしれない。
大型機械では桁が合わない、しかし「現場の周り」の DX には十分入る余地がある。高知の自伐実践者と林業工学の研究者に、机を挟んだ往復書簡をお願いした。
Sentinel-2 衛星画像と林相図を組み合わせ、47 都道府県の針葉樹/広葉樹比率を独自集計。「西高東低」より「県内格差」のほうが大きかった。
森林クラウド 10 社以上の中で、「誰のためのクラウドか」が設計思想を分ける。事業規模 × 主役で選び方が決まる、6 つの観点。
国・都道府県・市町村の三層で動く 2026 年度の林業 DX 補助金。締切を逃すと次は 1 年先。
人口 3,300 人の町が、林業 DX の最先端事例になっている。高知県・梼原町、自治体 DX 担当者の 12 か月。